インプラントのデメリットの一つに「手術が必要」ということがありますが、最近ではこの手術の負担を減らすことを目的とした、メスで切らないインプラント治療法=「フラップレス・インプラント手術」というものがあります。
※フラップレス:簡単に言うと「歯肉粘膜を切ってめくらない」手術のことです。
通常のインプラントの手術では、歯肉粘膜をメスで切って骨を露出させて、そこにインプラントを埋入していましたが、フラップレス・インプラントでは専用のパンチのようなもので歯肉粘膜に小さい穴を開け、そこからインプラントを埋入します。
一般的なインプラント手術では、メスで歯肉粘膜を切開したり、剥離する必要がありましたが、フラップレス術式ではその必要がないため、出血や術後の腫れ、痛みなどを大幅に軽減することができます。また、縫合や抜糸といった処置も必要ないため、手術時間や治療回数の短縮も可能です。
(1)インプラントを埋め込む部位の歯肉粘膜をメスで切開します。
(2)歯肉粘膜を剥離して顎骨を完全に露出させてから専用ドリルで骨を削ります。
(3)インプラントを埋め込んで歯肉粘膜でふさぎ、縫合します。
(4)約3~6ヵ月後に歯肉粘膜を切開して、土台(アバットメント)を付け、最終的な歯を装着します。
手術前にCT撮影を行い、コンピュータ上でインプラント治療計画を立て、安全に手術を行うための手術用テンプレートを作製します。
※手術用テンプレートとは?
インプラントを正確な位置に埋め込むためのガイドとなるボクシングのマウスピースのような形をした装置です。
(1)手術用テンプレートを患者様の歯肉粘膜に装着し、ガイドに沿って小さな穴を開け、骨を削ります。
(2)そのままインプラントを埋入していきます。
(3)骨の状態が良く、初期固定がしっかりしていれば、手術当日に仮歯を装着することも可能です。
1. 手術時間が短縮されます。(3分の1くらいになります。)
2. 正確な手術ができます。
3. 術後の痛みや腫れが激減します(ほとんどありません)。
4. 怖がりの方でもできます。
5. 治癒が早いので治療期間が短くなります。
6. 通院回数が減ります。
7. 手術前後での歯肉粘膜の変化が少なく、歯を入れることが容易になります。
8. 手術後、すぐに普段の生活や仕事ができます。
9. 手術の負担が少ないので、高齢の方でもできます。
10. 手順がシンプルになるため、ミスが起こりにくくなります。
以上のシステムがそろっている医院で選択できる手術法です。
(コンピュータシミュレーションシステムを使用せず、歯肉に小さな穴を開けてインプランを埋め込むフラップレス術式もありますが、その場合は、念入りな術前診断と歯科医の高度な技術が必要不可欠です。)
また、患者様の条件としては、インプラントを埋め込む位置に充分な量の良質な骨があることが重要です。
レントゲン写真では、平面(二次元)でのあごの状態が分かります。
しかしインプラントを埋入するためには奥行き(三次元的な情報)が必要となります。
CTインプラント治療では、三次元的にあごの状態を把握する事ができ、安全かつ適切な位置へインプラントを埋め込む事が可能となります。
CTインプラント治療では、CT撮影後、インプラント体を埋め込む骨の中の状態が明確に分かるよう画像処理を行います。
これにより、あごの骨の厚み・あごの形態・骨の中の神経・血管の管まで把握でき、術前の治療計画や危険性をCT画像と共に丁寧に説明する事が可能です。
CTにて撮影した画像を処理し、情報を立体的に把握する事が出来るのです。実際の患者様の骨や神経の状態を寸分違わずモニター画面上に再現し、その上で診断のみならず、手術のシミュレーションを行うことが出来るので、患者様は、科学的根拠に基づいた診断による安全な手術を受ける事ができます。
これにより、患者様は歯科用レントゲンのみの診断による手術に比べ、より正確な手術が可能となります。
まず、CTの撮影をします。この画像をフィルム上で見るのではなく、データをコンピュータ処理します。様々な場所の断面図をコンピュータ画面上で見ることが出来るシステムです。
さらに、手術のシミュレーションも出来ます。
この情報を基に診断を下し、患者様に分かりやすく説明いたします。
CT撮影とシミュレーションによって骨の厚みや幅、上顎洞や下歯槽神経の位置などはもちろん、骨の硬さなどレントゲン写真では得られない情報も事前に得られるため、非常に正確な診断ができ、より安全で確実なインプラント治療が可能となります。