インプラントの保証については、さまざまな歯科医院でいろいろな考え方があります。ある歯科医院ではインプラント本体と上部構造(かぶせ物)に対して10年保証、ある歯科医院では7年保証、ある歯科医院では5年保証、またある歯科医院ではインプラント本体と上部構造の保証期間が違うなど保証期間もさまざまで、保証期間の設定がない歯科医院もあります。
医療に絶対はありません。インプラントも決して一生ものではありません。
当センターの調査データでは、15年経過した段階の生存率は95.2%、20年経過した段階の生存率は90%となっており、世界的に報告されている生存率96%(10年以上経過した段階のデータ)とほぼ同じ数字がでています。
保証期間の提示や保証書の配布がなくても、保証がないわけではないのです。どの歯科医師も自分のやった仕事に対して責任をとる意思はきっとあるはずなので、ちょっとトラブルがあったからといって他の歯科医院に行くのではなく、まず治療してくれた歯科医院で相談することをお勧めします。
インプラント保証とは、インプラント治療を行った歯に再治療が必要になった場合に、その際治療が無料で受けられるというものです。保証期間とは、無料で再治療が受けられる期間のことです。
保証期間は医院によってさまざまなので、治療の前に確認することをおすすめします。
患者様が「インプラント」として思い浮かべるのは、歯全体のことですよね。ですが、歯科医がインプラントと呼んでいるのは、実は歯全体ではないのです。
歯は、目に見える部分と、その土台となる部分の、2つで構成されています。
専門的には、目に見える部分を「歯冠」、目に見えない土台の部分を「歯根」と呼んでいます。
インプラントとは、目に見えない「歯根」の部分だけを指します。
歯科医にとっては、これが当然のことになってしまっているため、中には患者様に丁寧に説明しない方もいます。そうすると患者様としては、「インプラント保証だから、歯全体を保証してくれるものだと思って治療を始めた」のに、実際は歯全体を保証してくれるわけじゃなかった、という誤解が生じてしまうことがあります。
ですから、保証をチェックするときは、・歯根(インプラント部分)の保証
・歯冠(かぶせ物)部.分の保証 を、分けてチェックすることをおすすめします。
インプラントのチタンと骨のカルシウムイオンが結合することにより、インプラントは骨と結合します。インプラントに一度結合した骨は、主に以下の2点にさえやられなければ、決して無くなりません。
・咬み合わせが変わった場合、インプラントに大きな力がかかる場合があり、気がつかないうちに壊れてしまうこともあります。
・強い力で噛んだ時に歯冠(かぶせもの)部分が欠けたり、場合によってはインプラントが抜けてしまったりします。
対策
アバットメントに人工歯冠を装着する際に、咬み合わせを細かく調整するのですが、咬み合わせというものは徐々に変化してしまうものです。
定期的に検査を受けて、咬み合わせが変化してしまっている時は、再調整する必要があります。
また、歯軋りをする方は、毎日インプラントに過度な力が加わってしまいます。その場合、就寝時にマウスピースを装着することや、長くて太いインプラントを再埋入するという対処法があります。
・インプラントは構造上、連結部分に細菌が溜まりやすく、歯周病になりやすいのです。口腔内の清掃状態が悪く、定期検診にも来ていないと、付着した歯石や歯垢によって細菌感染を起こしインプラント周囲炎になります。インプラントを支えている骨が溶けてしまっては、もう打つ手がありません。
・インプラントは金属ですので、通常の歯の痛みのような痛みは起こりません。しかし、周りで炎症が起きていても気付かない場合があります。その結果、歯槽骨に炎症が発症してしまうところまで進行してようやく気づく、というパターンが多くなっているのです。
対策
正しいブラッシングの指導を受けて、ケアを怠らないように十分気を引き締めてください。インプラントの治療後は、正しいブラッシングは必要不可欠なのです。
そもそも、歯を失った原因は、ケアを怠り歯周病や虫歯になったことが原因である場合が多く、治療後も今までと同じケアをしていたのでは、当然インプラントを正しく維持することはできません。インプラント後はこれまで以上のケア・メンテナンスが必要になります。うまくいっている時に悪くしないための予防診療を定期的に受ける方法が、長期的に見て一番効果のあるアフターケアです。専門家と協力して一緒に長持ちさせましょう。
インプラント治療のゴール(成功)は治療終了日ではありません。患者様がずっと健康で快適な生活を送り続けられることが、インプラント治療の成功だと考えています。インプラント治療を成功させる為に私たちと患者様が協力して、患者様のインプラントをお守りします。